明日の選挙の地方版的見所

prop60

いよいよ明日火曜日は世界中が注目するアメリカの大統領選挙だが、同時に多くの議題が住民投票にかけられる日でもある。カリフォルニアでは、娯楽用マリファナの合法化や(Prop 64)、死刑制度廃止(Prop 62)、レジ袋禁止(Prop 67)、公立学校での外国語教育(Prop 58)なども結果が注目されている。そんな中、地方版でとりあげるのは、Prop 60、「Condoms in Pornographic Films ポルノ男優のコンドーム着用義務付け」だ。一見、なんでそんなことまで住民投票に問う必要があるのか、性感染症の拡大やポルノワーカーの健康を守るために当然でしょ、と思うところだが実は奥深い。

実はこの法案はポルノ業界や、エイズに感染の被害にあった出演者から生まれたものではなく、エイズヘルスケア財団という団体のディレクターである、マイケル・ウエインスタイン氏が単独で5百万ドルを投じて進めているキャンペーンなのだ。法案を書いたのもこの団体で13ページにわたる法案を読むと、その目的がコンドーム着用を推進することではなく、違反者を訴えることであることがわかる。法案が可決すればビデオ中でコンドームを着用してないと思われるポルノビデオの製作者を、誰でも(エイズヘルスケア団体を含む)訴えることが可能になり、訴えた一視聴者は裁判の結果得られた罰金の25%を受け取ることができるとなっている。

この法案に反対しているのは、まさしくこの法案で守られるとされているポルノ業界の俳優やディレクター達だ。出演者が直接訴えられることはないとされているものの、この業界では出演者が制作側にも関わっているケースは少なくなく、コンドーム非着用の疑惑により一般市民に訴えられるだけで、住所や本名などのプライベートが公になってしまい、ポルノワーカーへのハラスメントであると訴えている。また、性感染症の安全面については業界でも最も厳しいとされる1ヶ月に2回の性病検査を自主的に義務付けており、ポルノビデオの撮影でエイズに感染するケースはすでに一般人よりはるかに低いとされている。

この法案については、一見HIVの拡大からポルノワーカーを守るという体裁を取っているため、事前調査では一時75%を超える支持を得ていた。その後ポルノ業界による地道なキャンペーンにより、大手メディアや医療機関が反対の意思を表明するなどして、徐々に市民にも事情が浸透してきているが最新の事前調査ではまだ賛成派が過半数を超えている。Prop 60は現在カリフォルニアの法案では唯一民主党、共和党ともに対立せずに反対の側についている法案でもある。

キャンペーンにかけられた費用を比較しても、この法案が不自然であることがわかる。反対派がこれまでに捻出したキャンペーン予算54万5千ドルに対して、賛成派は10倍近い499万ドルをかけている。

California Proposition 60, Condoms in Pornographic Films (2016) – Ballotpedia

Vote Yes on Prop 60

No Prop 60 – Californians Against Worker Harassment