ファニメコンレポート:ゲストインタビュー1:古谷徹さん




今回は、ファニメコンに日本から招待されているゲストの方にお時間を頂きインタビューをさせて頂きました。最初は声優の古谷徹さんです。古谷徹さんといえば、機動戦士ガンダムのアムロ・レイ、巨人の星の星飛雄馬、ドラゴンボールのヤムチャ、カーグラフィックTVのナレーション等々、自分の中でも青春時代から常にヒーローの声、そのご本人にお会いすることが出来ると今回はかなり緊張してインタビューにのぞみましたが、古谷さんはとても気さくな方で地方版のような小さなメディアにも、とても丁寧に対応して頂きました。今までテレビの中からいつも聞いていたあの声が直接耳に入ってくる感動でゾクゾクしながらのインタビューでした。

これまでのお仕事やご趣味など、ネットで見つかる情報は割愛して、編集長が聞いてみたかった声優としての仕事について、ご質問させていただきました。
(最後に古谷さんからのビデオメッセージがあります)

キャラクタづくりはどの程度声優さんに委ねられているものでしょうか?

ケースバイケースですが、僕の場合なんかだと監督が僕の持ち味を知った上で上で選んでくださっているので、かなりの部分を任されているケースが多いです。
監督によっては、事前の僕の捉え方と多少違う事もあり、その場合は認めてくれる場合もあるし、別のパターンを要求される事もあります。
数字でいえば八割位まかされていると思います。



任される立場として、事前に原作を読むなどの勉強しなければいけない部分も多いと思いますが

どんな場合でもそうですが、僕の役作りのやり方としては、手に入る情報は全て手にいれ、それを自分なりに分析して頭にインプットし、その後に台本を読むわけですが、台本に書かれていない自分の演じているキャラクターの人生を想像してスタジオにのぞみます。ここで、完璧に創り上げてしまうと後で軌道修正するのが難しくなってしまいますので、おおまかにしておいて、スタジオの中で実際に声を出して監督と話し合ったりして修正して形を作ってゆきます。



古谷さんのほうから、「このセリフはこうしたほうがよい」などとアイデアを出されることもありますか?

それはもう、いくらでもありますので、テストの段階で自分で自分の信じるセリフに変えてしまいます。後で監督から「やっぱりオリジナルで」と言われた時だけ直すようにしています。そのほうが時間も無駄になりませんし。



アドリブを入れられる事も多いと聞いたのですが、アニメのアドリブって映像は決まってしまっているので難しく無いですか?

そうですね。広い意味でセリフを変えてしまう事も含めてアドリブと読んでいますが、相手役に迷惑がかからない程度に、自分のキャラクターが背中を向けている時に、台本に無いセリフを入れてしまったりすることもあります。僕の場合はアニメではギャグキャラクターが少ないので難しいですが、洋画の吹き替えでは多いですね。



洋画の吹き替えや海外のアニメの吹き替えでは、すでに現地の声優さんがキャラクターを作られているわけですが、こういう場合はそのキャラクターに併せて日本語に吹き替えて行くのですか?

これもケースバイケースですね。もちろん上手い声優さんでしたら、そのままのニュアンスを残して日本語に替えるだけで良いのですが、そうでない場合は、オリジナルはあまり気にせずに自分なりにキャラクターを作り上げて演じることもあります。



逆に古谷さんのやられたキャラクターが海外で吹き替えられているのを聞いて、残念なケースもありますか?

ありますねえ。(笑)大体どこの国でもアニメファンになぜ吹替版があるのに字幕で見るのかと聞くと、吹き替えの声優がヘタクソだからとみんなおっしゃいます。今朝もホテルの部屋でこちらのアニメを見たのですが、何役も一人の方がやるケースが多いのかみんな声が似ているんですね。キャラクターのイメージと違和感のある演じ方をされている方が多いと思いました。クォリティ的には日本の声優が世界一だと思います。



アニメの世界では、長寿番組になるとキャラクターは歳を取らないのに、声優さんがどうしても歳を取ってしまいますが、古谷さんは、何歳くらいまで声優を続けたいというのはありますか?

難しいですね。できれば、長く続けてゆきたいと思っていますが、自分の声にツヤや張りがなくなってきた時は、自分で気が付かなくても家族やマネージャーなどのアドバイスを聞いて判断したいと思っています。



古谷さんに取っての最長寿キャラはやはりアムロですか?

そうですね。今でも毎年数本ゲームなどが出ています。サンライズの社長さんにはアムロの声をあと10年は続けて欲しいと言われています。16歳のアムロの声をいつまで出し続けられるか分かりませんが、認めてくださっている限りは自分で続けたいと思っています。



では海外で一番古谷さんのキャラクターで人気があるのは?

国によっても全然違いますね。セーラームーンやドラゴンボールは今でも根強い人気がありますし、メキシコやブラジル、南米では聖闘士星矢が圧倒的な人気です。また、中国ではなぜかガンダムがあまり人気がありません。



古谷さんが個人的に思い入れのあるキャラクターは誰でしょうか?

自分がメインキャラクターをやった作品はどれも自分にとって宝物ですので、一つに絞るのは難しいですが、一番演じていて自分が楽しいのは、「きまぐれオレンジロード」の春日恭介です。タイプの違う二人の女の子との三角関係の物語で、演じていると自分自身の青春時代に戻れるの嬉しくて大好きな作品です。



よく俳優さんが色々な映画に出ているうちに自分で映画を撮ってみようと監督の側にまわる事がありますが、古谷さんも沢山のアニメ作品に出ていて、自分でプロデュースしてみたくなることはありませんか?

夢としては持っていますが、演ずる方もまだまだ未練があり、両立は難しいと思います。自分の中で自信が持てたらやるかもしれません。一度ゲームの音響演出をやったことがあるのですが、実際にやってみたところ、かなり時間がかかり効率が悪いものだということが分かりました。いまはまだ声優としての需要もありますので、アニメの演出の話が一度あったのですがお断りしました。



では、漫画などを読んでいて、自分の声でアニメ化してみたいと思った作品はありますか?

お酒を飲むようになってワインをよく飲むのですが、神の雫は読んでいてアニメになったらやってみたいと思いましたね。



これまでに、沢山の役を演じられていますが、全て声と役柄を覚えていらっしゃいますか?

さすがにこれまで、メインキャラだけでも50本以上、全部で200作品以上に参加していますので、全てをパッと思い出すのはさすがに難しいですね。



同時に並行して複数のキャラクターを演じられる時期もあったと思いますが、頭の切り替えが大変ではありませんか?

よく、ジョークで頭にスイッチがついていると答えるんですが、例えば「新巨人の星」と「機動戦士ガンダム」は収録が同じ曜日だったんですね。スタジオが一緒だとつらいんですが、午前中が赤坂のスタジオで巨人の星、午後が新宿のスタジオでガンダムでしたので、移動の間に切り替えをすることができました。



中には一つの作品の中で複数の役を演じられているケースもありますよね。

その場合には、その場で切り替えるしかないのですが、主役級の役を二役ということはまずないので、どうしても比重はメインキャラのほうに行きますね。



パソコンを自作とかされると聞いたのですが、ここシリコンバレーには色々とハイテク系の会社の本社などもありますが、お土産とか見学などされる時間はありましたか?

今回は、駆け足のスケジュールなので、残念ながら寄ることはできませんでしたが、近くなんですか?



車で30分以内のところに多くの会社やコンピュータ歴史博物館などがありますので、次回は是非ゆっくり滞在し、足を伸ばしてみてください。


今回はなにか美味しい物を食べられましたか?

お肉をばかり頂いていたので、昨日はイタリアン、一昨日はサンフランシスコでクラブを頂きました。



サンフランシスコ、サンノゼの印象はいかがでしたか?

綺麗で良いですね。サンフランシスコは坂が多くて大変そうですが、とても街並みがオシャレで緑が多く陽気がいいですね。



ファニメコンについてはどうですか

本格的には今日これから始まるわけですが、みなさんがアニメやコミックを通して日本のカルチャーに非常に興味を持ってくださっているというのを強く感じます。



最後に機動戦士ガンダムのアムロ・レイの声で、シリコンバレーの日本人にメッセージをお願いできますでしょうか?



インタビューの後、ファンとのQ&Aセッションで、様々なキャラクターでのセリフリクエストに答える古谷徹さん



インタビューの後もご一緒させて頂く機会があったのですが、周囲への気配りやご自分のお仕事への誇りとこだわりなど、とても筋の通った素敵な方で、これだけの人間的な器の広さがあるからこそ、どんな役でも素晴らしくこなしてしまうことができるのだと感心し、刺激を受けました。ありがとうございました。