焼酎とSoju、同じ蒸留酒なのに扱いが違う?
焼酎とSoju(ソジュ)はどちらもアジアで人気の蒸留酒。日本の焼酎と韓国のSojuは似た製法で作られていますが、アメリカでは長年、まったく異なる扱いを受けてきました。
蒸留酒である焼酎はハードリカーにカテゴライズされていたため、寿司屋などのハードリカーライセンスを持たないレストランでは提供ができなかったのです。
下の3つの画像はどれも黒霧島のラベルですが、よく見ると上の2つはアルコール度数が24%で一枚目がSOJU表記、二枚目はSHOCHU表記となっています。3枚目は日本国内向けでアルコール度数は25度。その違いの理由はどこにあるのでしょうか?

Sojuはなぜソフトリカーに?
アメリカ、特にカリフォルニアやニューヨークには、韓国系移民が多く住んでおり、Sojuは彼らの飲食文化に欠かせないものでした。韓国系コミュニティは1990年代から2000年代初頭にかけてロビー活動を行い、アルコール度数24%以下のSojuは「ソフトリカー(ビール・ワインのライセンス)」として販売・提供が可能という特例を獲得しました。これにより、多くの韓国料理店が安価なライセンスでSojuを提供できるようになりました。
この成功は、韓国系コミュニティがアメリカで強力な政治力と結束力を持ち、ロサンゼルスやニューヨークといった都市での影響力が大きかったためです。
日本の焼酎はなぜハードリカー扱い?
一方、日本の焼酎は同じ蒸留酒にもかかわらず、アメリカでは「ハードリカー」として扱われ、販売には高額なハードリカーライセンスが必要でした。
その背景には、日本のコミュニティがアメリカで韓国系ほど強力な政治的結束を持たず、焼酎がアメリカ市場で重要視されていなかったことが考えられます。また、日本の焼酎メーカー自体も、アメリカ市場への進出が遅れていたことも一因です。
そのため、日本の焼酎メーカーはアメリカ市場向けに焼酎のアルコール度数を24%以下に調整し、Sojuとして登録することでソフトリカーとして販売できるように工夫していました。つまり、焼酎のラベルはSojuになり、中身も度数を落としたものにせざるを得なかったのです。
2023年、焼酎にも朗報
2023年10月、カリフォルニア州では「アルコール飲料規制に関する法律」が改正され、24%以下の焼酎も「ソフトリカー」として認められるようになりました。これにより、焼酎もSojuと同様に、ビール・ワインのライセンスで提供が可能になったのです。
ただし、この改正は度数24%以下の焼酎に限られており、それ以上の度数の焼酎は依然としてハードリカー扱いです。つまり、度数を落とさずに提供できる場面は限られているという現実もあります。
同じ蒸留酒でありながら、韓国のSojuはソフトリカーとして早くから認められ、日本の焼酎は長らくハードリカー扱いを受けてきました。しかし、2023年の法改正により、焼酎も24%以下であればソフトリカーとして提供できるようになり、これでようやく本来の「焼酎」として販売できるようになったわけです。
次の飲み会での話のネタにどうぞ。