2025年5月12日、北カリフォルニア在住のバーバラ・モーガン氏が、2024年4月にサンフランシスコ発ダラス行きのアメリカン航空の夜行便で、隣席の男性乗客から性的暴行を受けたとして、同航空会社を相手取り訴訟を提起した。訴状によれば、モーガン氏は離陸後、機内の照明が暗くなった際に、隣席の男性から太ももや胸部を触られるなどの被害を受けたとされる。彼女は複数回「やめて」と叫んだが、乗務員からの介入はなかったという。
モーガン氏は着陸後、ゲートの係員に被害を報告したが、オンラインでの苦情申し立てを勧められただけで、航空会社からの実質的な対応はなかったと主張している。その後、彼女はオンラインで苦情を申し立てたが、アメリカン航空の担当者からは彼女の主張を軽視するような対応を受けたとされる。
訴状では、加害者とされるテキサス州在住のチェリアン・エイブラハム氏が、過去にも複数の機内での性的暴行の疑いで報告されていたにもかかわらず、アメリカン航空が彼の搭乗を許可し続けたと指摘している。エイブラハム氏は2025年3月、連邦捜査局(FBI)により、他の女性乗客に対する性的暴行の疑いで逮捕された。
モーガン氏の訴訟は、アメリカン航空の過失、感情的苦痛、詐欺的隠蔽、性的暴行を理由としており、同航空会社が既知の性的加害者を搭乗させ続けたこと、被害報告に対する不適切な対応が、彼女の安全と精神的健康を損なったと主張している。
アメリカン航空は、エイブラハム氏の逮捕後、彼の搭乗を禁止し、法執行機関と協力していると述べている。同社は声明で「お客様と乗務員の安全が最優先事項であり、この問題を非常に深刻に受け止めている」としている。
この事件は、機内での性的暴行の問題、特に夜行便や長距離フライトでのリスクが高まっていることを浮き彫りにしており、航空会社の対応や乗客の安全確保に対する社会的関心が高まっている。