2025年に入り、サンフランシスコ・ベイエリアを拠点とする主要テクノロジー企業で大規模な人員削減が相次いでいる。Meta、Google、Autodesk、Block(旧Square)といった企業が対象であり、レイオフの影響は幅広い職種に及んでいる。カリフォルニアでは第1四半期だけで17,874人がレイオフの対象となった。
背景には、パンデミック中の急速な事業拡大の反動、そして生成AIを中心とする技術革新の加速がある。多くの企業が、過去数年間にわたって行ってきた人材採用を「過剰だった」と認め、組織のスリム化と事業の焦点絞り込みに舵を切った。
各社の動向:
- Meta Platforms は、VR・AR関連のReality Labs部門を中心に100人以上を削減。Metaは今後、より収益性の高い混合現実体験と広告ビジネスの強化に注力する方針を示している。
- Google は、サンフランシスコオフィスで57人を削減。特に「Core」部門の再編が進められ、一部業務はインドやメキシコに移管される予定である。
- Autodesk は、全世界で約9%(1,350人)を削減。AIとクラウドベースのサービスへの重点投資を目的とし、従来型のビジネスモデルからの転換を進めている。
- Block は、カリフォルニア州内の240人を含む、全体で931人を削減。経営再建に向けた効率化策の一環であり、AI導入を進めながら、収益性の低い事業の整理を進めている。
人員削減の本質的な理由:
- 生成AIの急速な発展により、従来人手が必要だった業務が自動化できるようになったこと
- 金利上昇と資本コストの増加により、無秩序な拡大路線が見直されたこと
- 株主からの利益圧力の高まりにより、効率性と収益性が強く求められるようになったこと
従来、ベイエリアのテックワーカーは高額給与とストックオプションに縛られた「ゴールデン・ハンドカフ(金の手錠)」の下にあったが、今回のレイオフによってその構造は崩れつつある。中には、フリーランスやスタートアップへの転身を図る元従業員も増えているという。
The ‘golden handcuffs’ came off for these Bay Area tech workers – Los Angeles Times