2025年4月22日、テスラは第1四半期の決算を発表し、純利益が前年同期比で71%減少し、9億3,400万ドルとなった。これはアナリストの予想を大きく下回る結果であり、売上高も9%減の193億ドルにとどまった。特に車両販売収益は20%減少し、販売台数も13%減の336,681台となった。
この業績悪化の背景には、CEOイーロン・マスク氏の政治的立場に対する反発があるとされる。マスク氏はトランプ政権下で新設された「政府効率化省(DOGE)」の長官を務めており、その影響で世界中のテスラ販売店で抗議活動が発生している。一部の株主からは、マスク氏に対しホワイトハウスの役職を辞任し、テスラの経営に専念するよう求める声も上がっている。
また、トランプ政権による新たな関税政策がテスラのサプライチェーンとコスト構造に悪影響を及ぼしており、同社は「現在の関税環境」が事業に影響を与えていると警告している。マスク氏は3月末に「このコスト影響は無視できない」と述べている。
テスラは、低価格モデルの新規開発計画を中止し、既存プラットフォームを活用した廉価版の生産に注力する方針を示している。また、オースティンでのロボタクシーの試験運用を6月に開始する予定であるが、中国の競合企業BYDが9,600ドルの自動運転車を発表するなど、競争は激化している。
テスラの株価は年初来で約50%下落しており、同社は「中長期的な事業の安定化と健全性の維持」に向けた対策を講じていると述べている。今後の業績回復には、マスク氏の政治的活動の影響を最小限に抑え、競争力のある製品戦略を打ち出すことが求められている。