2025年4月22日、スタンフォード大学が運営する「WastewaterSCAN」プログラムの最新データによれば、ベイエリアの下水からポリオ様疾患を引き起こすエンテロウイルスD68(EV-D68)が検出された。このウイルスは、特に小児において急性弛緩性麻痺(AFM)を引き起こす可能性があり、最悪の場合、永久的な麻痺に至ることもある。EV-D68は1962年にカリフォルニアで初めて確認され、2014年には全米で1,153件の感染が報告された。
同時に、ベイエリアではインフルエンザB型の感染も広がっており、地域全体で高いレベルで検出されている。カリフォルニア州は、2025年2月時点でインフルエンザの陽性率が27.8%に達し、全国平均の31.6%に迫る勢いであった。これにより、入院や死亡者数が増加し、過去最悪のインフルエンザシーズンの一つとされている。 SFGATE
EV-D68は通常、軽度の風邪様症状を引き起こすが、特に喘息を持つ小児においては、AFMを発症するリスクが高まる。この疾患は、飲み込みの困難、言語障害、四肢の筋力低下などの症状を伴い、現在のところワクチンは存在しない。感染経路は、咳やくしゃみによる飛沫感染や、汚染された表面との接触によるとされている。
専門家は、手洗いやマスクの着用など、基本的な感染予防策の徹底を呼びかけている。また、特に小児や高齢者、基礎疾患を持つ人々に対しては、インフルエンザワクチンの接種が推奨されている。これらの対策により、感染拡大のリスクを低減し、重症化を防ぐことが期待されている。