硬めの雑学ネタが続いたので、少し緩い話を。
みなさんも、日本からの出張者のリクエストで不本意(?)ながらお色気系のお店を探したことがあるのではないでしょうか。そこで気がつくのは、こちらのGentlemen’s Club、いわゆるストリップではアルコールが提供されないことです。え、シラフでストリップを鑑賞して、パンツにチップ挟んだりするの?と驚かれた経験は誰にもあるはず。一方、ビキニバーではお酒もOKだったりします。これは偶然でもオーナーの趣味でもなく、州法によって厳格に線引きされている「トレードオフ」なのです。
裸か酒か、どちらかしか選べない
この奇妙なルールの根拠は、カリフォルニア州の「ABC法(Alcoholic Beverage Control Act)」にあります。具体的には、州のアルコール飲料管理局(ABC)が定める規制の中で、アルコール提供のある施設では「全裸のエンターテインメント」を行ってはいけないというルールが存在します。
ざっくり言えば以下の通りです。
・アルコールを出したいなら:出演者はビキニやランジェリーまで(いわゆる「トップレス」すらアウトなケースも多い)
・全裸パフォーマンスをしたいなら:店内では水すら有料で、酒類は完全禁止
このため、カリフォルニアでは店側も「どっちの路線で勝負するか」を選ばざるを得ず、「酒が飲めるバーレスク風ビキニバー」か、「本格派ヌード劇場」か、きれいに二分されています。
背景にあるのは「風紀」と「治安」の論理
この不思議な線引きができたのは、1970年代の全米での風紀論争に遡ります。当時、ストリップクラブと酒場がセットになると、「性風俗化の加速」「売春や違法薬物の温床になる」などの社会問題が指摘され、公序良俗を守るための「安全弁」として導入された規制が広がっていきました。
カリフォルニア州も例外ではなく、ABC(アルコール飲料管理局)が「酒類提供と全裸の組み合わせは禁止」とすることで、酔客と性的サービスが交錯する事態を防止しようとしたのです。
実際、1970年代から80年代にかけては、酒とヌードを同時に提供していた店が犯罪や風紀違反で摘発されるケースが多く、結果として「どちらか一方しか選べない」という構造が現在まで続いています。
店選びは戦略次第?
この「裸か酒か」の究極の選択は、お店を選ぶ客側にも影響します。
「エンターテインメントとしての完成度重視!(本音:とにかく全裸がみたい)」ならアルコールなしのヌードクラブへ。
「ワイワイ飲みながら雰囲気を楽しみたい(本音:シラフじゃ恥ずかしくて直視できない)」ならビキニバーやゴーゴーバーへ。
つまり、「酔いたいのか、見たいのか」は事前に決めてから出かけるべしというのがカリフォルニアの夜遊びの鉄則です。
まとめ:「おっぱい」と「お酒」は両立しない
「酒と裸の両方を楽しみたい」というのは人類普遍の欲望かもしれませんが、少なくともカリフォルニア州ではそれは叶いません。なぜなら、アルコールと全裸は共存できないと法律が決めているからです。
この「おっぱいとアルコールのトレードオフ」は、ある意味でカリフォルニアらしい大人の合理主義。自由の国アメリカにも、「自由すぎないためのルール」があるというわけです。
全米でも同様のルールを採用している州は多く、「アルコール+トップレス」まではOKだけど「アルコール+ヌード」はNGという州は珍しくありません。一方、ラスベガスの一部やフロリダ州では条件付きで両立可能な場合もあり、州ごとの風紀観の違いが垣間見えるのも興味深いところです。
記事カテゴリに「全裸」というカテゴリがある地方版らしい記事になりましたね。




