オレゴン州最大の電力会社ポートランド・ジェネラル・エレクトリック(PGE)は、州の排出削減目標達成に向け、2030年までに供給する再生可能エネルギーをほぼ倍増させる必要があるとした。一方で、連邦政策の後退、送電制約、開発コスト上昇が達成の妨げになっているとして、オレゴン公益事業委員会に柔軟な対応を求めている。
PGEが今月提出したクリーンエネルギー計画は、電力供給に伴う温室効果ガス排出の削減を求める州法HB 2021への対応状況を示したものだ。同法は、電力会社の排出量を2030年までに2010-2012年比で80%削減し、2035年の基準を経て、2040年までに温室効果ガス排出を完全に排除することを求めている。
PGEの政策・持続可能性担当副社長クリステン・シーランは、トランプ政権下で風力など再生可能エネルギー事業の連邦承認が遅延・中止され、再生可能エネルギーを支える税額控除の巻き戻しが議会で進められていることが、導入コストに影響していると述べた。供給網の問題も重なり、導入の時期や方法が複雑化しているという。また、発電地から需要地へ送る新たな送電線整備が追いつかず、許認可や立地の承認も移行を遅らせていると説明した。需要面では、データセンターや、家電・自動車の電化の進展が、必要な再生可能エネルギー量の見極めを難しくしているとしている。
PGEは計画の中で、2030年の基準達成を目指すが料金上昇につながり得る「Preferred Portfolio」と、料金を抑えるが州の気候目標に届かない「Continued Progress Portfolio」の2つのシナリオを示した。Preferred Portfolioでは、2030年までに約7ギガワットの再生可能エネルギー追加が必要で、2032年までにさらに2ギガワットを加え合計9ギガワットとしている。Continued Progress Portfolioでは、2030年に60%、2035年に70%の排出削減を掲げ、2030年までに約3.4ギガワット、2032年までに合計最大5ギガワットの追加としている。PGEは現在、約3.5ギガワットの発電設備を保有し、顧客に販売する電力の約56%を自社で賄い、残りは長期契約や卸電力市場で調達している。
州の消費者団体Oregon Citizens’ Utility Boardのコミュニケーション・アウトリーチ担当ディレクター、シャーロット・シャフは、PGEの計画は「道路封鎖ではなく速度低下」だと述べた。HB 2021の成立時点では、州内でのデータセンターの急増と連邦の資金面の後退が再生可能エネルギー産業に影響することは予見できなかったとして、この課題はPGEに限らないと指摘した。シャフは、2030年目標に届かない可能性があっても、2040年目標が最も重要だと述べた。

